平野克己『経済大陸アフリカ』 - Fuwafuwa's memorandum

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平野克己『経済大陸アフリカ』

経済大陸アフリカ (中公新書)経済大陸アフリカ (中公新書)
平野 克己

中央公論新社 2013-01-24
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アフリカの話だが、経済の話でもあるので、国際社会や経済学的なトピックも手広く扱っている。かなりおもしろい。完全に期待を上回っていた。

第1章は丸々中国に充てられている。それと言うのも中国において資源の確保は国家安全保障と密接な関係にあり、中国経済がテイクオフしてからはアフリカの支援開発が政策的に進められてきたから。とはいえ中国の先進国の中では特異な政治体制や、アフリカ国内の高すぎる人件費などの問題が組み合わさり、アフリカ政治には接触せず中国企業をアフリカに展開するという形で支援を進め、アフリカ人の就業率には寄与しないものの概ね歓迎されているらしい。

物質が飽和し技術が一般化した現在では、技術と資源の価値は反転しアフリカ大陸のような豊富な資源を持つ地域を獲得することこそが未来のテクノロジーを独占するための第一歩となる。このように考えると90年代以降なぜ日本が苦戦を強いられ続けているのか、日本のアフリカ進出が遅れたことが何故問題なのかがわかる。

従来の援助政策の多くは途上国に”民主主義化”を迫るものだったが、中国はそもそも自国が民主主義ではない上に自国の体制を他国に押し付けることもない。2000年代以降中国からアフリカへの輸出量はめざましく伸び続け、アフリカ国内のインフラ、医療、食料、衣類を支え人々の生活を豊かにする。BOPは貧しい国の需要を満たすことで自国の利益を上げることと密接な関係にある。

アフリカの割高な人件費について。一言で書けばそもそも食料を自給できていない点に尽きる。大陸の60%以上が砂漠〜乾燥地帯であるという気候的な特徴に加え、人間居住地が分散しているために物流インフラが整備されておらず肥料を手にれにくい、産業が未成熟なため自国で開発技術を持たない、効率的な耕作のノウハウが伝達されず従来的な非効率な耕作に頼ってしまう、などの問題が重なっている。自国で供給ができない以上は食料を輸入に依存せざるを得ず、輸入である以上は食料は割高になる。そしてそれはそのまま高額な人件費に跳ね返る。

人件費が高額であるということは労働人口をそのまま労働力として活用することが困難であるということでもある。かつての日本も、中国も、東南アジアのほとんどの国は、安い人件費と高い労働力人口(いわゆる人口ボーナス)によってテイク・オフしてきた。人件費が高い以上は外国企業がアフリカに工場を展開してもアフリカ人を雇用することには及び腰になるし、産業は育たず人々は非効率的で利益率の低い耕作に依存せざるを得ない。おまけにアフリカの人口は増加し続けており、食料の流入が絶たれれば即死に繋がる都市部では不安が蔓延している。海賊国家で知られるソマリアのように未だ貧しく無政府状態にある国も存在する。

アフリカの多くの国では歳入を労働力ではなく資源に依存していることもあり、独裁的で不安定な政情で、国内の企業を自政府が支援することが困難な状態にあったが、近年では他国の企業の投資とアフリカ展開により経済成長率を猛烈に押し上げている。投資されるということはそれだけ重要な国だからであり、その重要性は資源の豊富さにある。取り分けレアメタルは今や生活インフラの一つであるハイテク機器には必要不可欠であるし、近年では巨大な天然ガスのガス田が発見されている。

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