ナイトクローラー - Fuwafuwa's memorandum

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ナイトクローラー

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ナイトクローラー観た。なんとなくタイトルとパッケージからイケてる人々のイケてる映画かと思ったのですが、初っ端から立ち入り禁止区間で鉄資源を盗んで警備員をボコる主人公→車中で流れるラジオが低所得者向けローンの破産した人々の相談番組というリアルにヘビーな内容でどんより。時代背景は多分2010年前後なので、若者の失業率が10%を超えて「ウォール街を占拠せよ」とデモを繰り返していた時期ですね。

この主人公の描かれ方があからさまにアメリカの低階層の若者で、若くて健康なんだけど職は無く暗い部屋に籠ってテレビばっかり観ているという、いわゆるヒルビリーって言うんですかね。作中何度も「インターンでもいいから働かせてくれ」というシーンがあって、日本みたいに新卒一括採用がないと、こういう感じで大学卒業後に無給で働く貧しい若者がたくさん出るんだろうなあという想像をした。

職がないならないなりに何かしら勉強でもしたり資格とったりしたらいいんじゃないかと思うんですけど、そもそも何を勉強したらいいのか分からないのか、テレビでもニュースは全然観ないで娯楽番組ばっかり観る。こういう人って多分アメリカに限らず大量にいて、かといって不勉強なわけでも不真面目なわけでもないので、何をやれば良いのかさえ分かれば努力できるしちゃんと結果も作ることができる。

見よう見まねでパパラッチの真似事をしてテレビ局に売り込みそこそこの収入を得るに至る過程とか有能ぶりには必見です。ディレクターが求めるものも結構エグくて、富裕層の不安が煽れるように、閑静な住宅街で起こる事件、加害者は有色人種で被害者は白人、グラフィックな映像を撮れ、という。アメリカの富を独占しているのは20%の富裕層と言いますが、他80%が20%の富裕層に自己を投影してテレビを観るというのは考えれば不思議な光景ですね。ルイスを追い詰める刑事が女性の黒人なのも、確信犯的な配置だよな〜と思ったり。

意外と社会派の映画なのか?!と思ったんですが、「自分が快楽を得るためには他人の感情なんか考えない」主人公のサイコパス性が徐々に明らかになり「なんなんだこの人…」と思っているうちに最後はなんか起業して終了しました。主人公について分かるのは家族とも友達とも繋がりがないこと、過去も、今に至った過程も分からず、共感を得にくいというか、いまいちリアリティを感じられませんでした。

こういう人、所謂『意識高い系』(揶揄的な意味で)というのかも知れません。いい車に乗り女を意のままにし起業するのが人生の目的なんだけど、そこに「何故」が(私には)ないように見えるので、非常に空虚な存在に見える。自分一人では空虚で意味や理由を見出せないから他人や社会によってあらかじめ用意された虚構に乗っかるしかないみたいな。だから作中でも「何故いい車に乗るのか」「何故女と寝るのか」「何故起業するのか」のような理由づけが一切ない。それは人が羨ましがる以上は善であってそれ以外の何者でもない。

主人公はちょっと現実離れした悪なんだけど、その悪を取り囲む小賢しい人々の小悪が結構リアルでセコくて無様で私はそっちの方に共感してしまった。主人公にインターンで雇われたリックの「世の中には程度を知るってことがあって、それが幸せってやつだろ」という発言なんか、節制と見せかけた怠惰以外の何物でもなく、彼が悪を働くのを嫌がったのは善からではなく自己保身からでしかない。

だから簡単に金につられるし、小悪党はそれをはるかに凌駕する本物の悪党に簡単にとって食われてしまう。こういう弱さは凄く理解できてしまうし、こうならないためにはもの凄く強くならないといけないんだよな〜と思いました。

映画は面白かったです。

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