アメリカン・サイコ - Fuwafuwa's memorandum

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アメリカン・サイコ

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アメリカン・サイコ観た。あらすじ確認せずに映画を観る(家事してる時とかに流してる)ことが多いのですが結構舞台設定が古く恐らく80年代後半のウォール街の投資銀行が舞台。主人公の秘書のチャンネーの肩パットがすごいです。そんな肩パットいる?!ってくらい入ってます。

映画そのものは2000年代の制作なのですが、とは言え80年代の終末的なアメリカの雰囲気が強調されていて、代わりに台頭してきたパックスジャポニカとの複雑な関係が示唆されていて面白い。随所にしつこい程現れるアジア的なもの、特に日本的なもの、さりげないシーンですが終盤の「90年代後半にはアメリカは日本に買収されるさ」といったセリフには嗚呼そういう時代もあったんだなあと思わせられます(もちろん冗談ではあるのですが)。

2000年代と言えばすでに日本は成長が頭打ち経済の低迷の最中にあり、アメリカはIT興国として台頭してまさに新しい世紀の覇者となりつつあったわけですが、そこで敢えて当時の雰囲気を再現する辺り、80年代アメリカにおける廃退的な雰囲気というのはある年代においては原風景でもあるのかも知れません。

さて映画のあらすじですが、ウォール街の投資銀行でバイスプレジデントとして働くハーバード大卒MBAホルダーという絵に描いたようようなエリートである美丈夫のパトリックは、昼はエリートとして華々しく働き美しい婚約者と美しい恋人がいる完璧な男なのですが、夜な夜な街を徘徊して浮浪者や売春婦を殺害し快楽を得ている連続殺人鬼でもあります。

パトリックの親交のある人々もパトリックと負けず劣らずのエリート揃いで、こぞって流行りのレストランに集まり女に耽溺し互いの名刺を見せ合ってその美しさを競い合います。そんな折素晴らしい名刺を見せてきたポールにパトリックは嫉妬し取り敢えず斧で顔をかち割ってぶっ殺したことから探偵に追われるようになる…というような内容です。

このパトリックがまあ兎に角すぐ人を殺しまくります。探偵に追われているのも忘れて娼婦を殺して冷蔵庫に首を保存したりポールの家に至っては完全に死体置き場になります。最初はまあまあ普通の殺し方なのですが物語が進むにつれて「え?!そんな殺し方する?!」みたいなコミカル描写が増えていくので「これはパトリックの夢の中なのかな?」という感覚になります。部屋から逃げ出した娼婦を裸でチェーンソー担いで追いかけ回し階段の上からチェーンソー落として殺害のシーンとか意味がわからなくてB級好きには必見です。

しかし誰一人にも目撃されることはなく(なんと本作には警官との銃撃戦もある)、終盤パトリックは泣きながら顧問弁護士に殺人を告白し助けを求めますが弁護士は取り合わず「ポールならこの間食事をしたし死んでないよ」と言います。と言うのもこの弁護士は、パトリックの名前もちゃんと覚えてないし、ポールのことだって曖昧にしか認識していないからです。それに例えパトリックの告白が本当でも、そんなことにはちっとも関わりたくないのです。

パトリックは物語の序盤から一貫して「社会にfitすること」に拘り、教科書のような美辞麗句を並べ立てるシーンが随所に差し込まれています。それを聞く”友人たち”の反応は実に冷ややかで、それはもちろんパトリックの言葉が単なる単なる偽善でしかないことを分かっているからでもあるからなのですが、終盤ではそもそも彼らは人間の精神にはまるで興味がないことがわかります。

サイコというのは語源を遡ると魂や精神を意味するらしいです。従ってタイトルのアメリカンサイコは、サイコパスでもサイコシスでもなく、完璧を追求した挙句の無個性、他人への無関心、失われた自己、そういったアメリカの情景を指しているのかも知れません。

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